自由組手・実戦で戦っている内に、ヒートアップして、エキサイトすることはないでしょうか?
私も色帯の頃によくありました。
空手を始めて間もない白帯の頃には、黒帯の先輩に掛かっていくこと自体でエキサイトしていました。
日常生活で殴り合いをすることはまずないですからね。
色帯になり組手に少し慣れて来ても、やはりエキサイトしたら、自然と構えが崩れていました。
これは、達人の芦原英幸先生の言葉・教えです。
今回は、その理由と対処方法を考えてみました。
最初に結論です。
エキサイト時にスキが生まれる理由:リキみにより動きが硬くなるから
対処方法:組手時に平常心を保つ
具体的な稽古方法:①実戦(組手・サバキ)、②立禅
私の専門は、フルコンタクト空手の芦原会館(芦原空手)です。
空手はもちろん、直接打撃のある武道全般に通ずる内容でもあるので、興味がある方はどなたでもご一読いただければと思います。
なお、今回の達人の教えは、松宮康生先生の以下書籍に記載があります。
43ページ目の「芦原語録2」です。
本書には、芦原先生に直接師事された松宮先生の見解が記載あるので、興味がある方は直接手に取って確認いただければと思います。
それでは深堀りしていきます。
エキサイト時にスキが生まれる理由:リキみにより動きが硬くなるから
私は、緊張している人に対して、
と声掛けします。
空手に限らず、人間は緊張したら、どうしても肩に力が入りがちです。
エキサイトしている時も、似ています。
組手でエキサイトして、相手を殴ろうとすると肩に力が、相手を蹴ろうとすると下半身に力が入りがちです。
力が入ること、つまりリキみがあると、どうしても動きが硬くなります。
この動きが硬さがスキが生まれる一番の理由です。
数多くのストリートファイトを経験してきた芦原英幸先生のコメントとして、
とのことです。
特に、足に力が入り、伸びきってしまうと・・・
ステップワーク等の足を使った、戦闘技術が全く使えなくなります。
ステップワークをうまく使うには、足を曲げて、少し腰を落とし、組手構え(ファイティングポーズ)をとる必要があります。
また、私が考える理想の武道の動きは、

常に柔らかく動くことです。
パワー・筋力をアップしても、実際の戦闘用の動きでは力を抜く必要があります。
エキサイトしてリキんでしまうと、動きが硬くなり、柔らかな動きができなくなります。


対処方法:組手時に平常心を保つ
では、組手時にエキサイトしてリキまないようにするには、どうすればいいか?
答えは、平常心をキープして組手に臨むことです。
書くのは簡単ですが、一朝一夕で身に付くものではないです。
勝敗は別にして、普段の稽古で習得している動きができれば、少なくても、その時点で持っている自身の能力は発揮されます。
エキサイトして平常心を失い、武術用の動きができないことがスキに繋がります。
平常心をキープするための稽古方法
では、組手・サバキ(実戦)で平常心をキープするための具体的な稽古方法は何か?
私の考えは、以下2つです。
完全な私見のため、他にも意見あるかもしれません。
至極当たり前の話ですが、フリーで動く組手・サバキで平常心をキープするには、その稽古の数をこなすことです。
道場で、向かい合って殴る蹴るの戦闘は、法治国家の日本で行うことのない非日常体験です。
慣れていなければ、平常心をキープできるはずがないです。
もちろん私もそうでした。
空手を初めて数ヶ月の頃は、組手となれば、頭の中は攻撃一辺倒で相手を倒すことしか考えられず、平常心を失っていました。
少し上級者向けで、心の鍛錬法を記載します。
中国拳法の「立禅」は、ある姿勢をキープして、ひたすら立ち続ける鍛錬法です。
立禅をすることにより、マインドフルネス状態になります。
マインドフルネスとは、「心がただ目の前のことに集中する状態」です。
一般的には、マインドフルネス状態に入るには「瞑想」をしたりします。
マインドフルネス状態に入ると、
・余計な雑念が消えて集中力が高まる
・不安やストレスから解放され心身のコンディションが整う
の効果があります。
立禅にはフィジカル面の効果もありますが、心を整えることもできる鍛錬方法です。
立禅をしているときの心持ちは、余計な雑念を持たない心持ちであり、平常心でもあります。
組手・サバキで使える心持ちを立禅をすることで、得ることができます。
私の場合、茶帯(黒帯の1歩手前)の段階でも、組手・サバキ時の頭の中では、相手を制圧することばかり考えていました。
茶帯なのである程度組手慣れはしていましたが、心は平常心ではなかったです。
黒帯になり数年後に気付いたのは、組手に臨む際は余計な雑念を持たず平常心で臨む方が、スムーズに動くことができます。
立禅は自分の心を整えることができる数少ない鍛錬方法です。


↓私の立禅の教科書です、独学でも学べます。
まとめ
今回は、達人の教え「エキサイトしている時ほどスキが生まれる」の理由と、対処方法・具体的な稽古方法を考えてみました。
エキサイト時にスキが生まれる理由:リキみにより動きが硬くなるから
対処方法:組手時に平常心をキープ
具体的な稽古方法:①実戦(組手・サバキ)、②立禅
記事中には、私が白帯時代・茶帯時代に、実際の組手・サバキ時に考えていたことも記載しました。
黒帯になり数年経過した今から振り返ると、組手・サバキ時の心持ちとしてはかなり違います。
実戦に臨む際は余計な雑念を持たず平常心で臨む方が、スムーズに動くことができます。



組手・サバキのような非日常体験で、平常心を保つことができれば、空手に限らず、日常生活のあらゆる場面でも活かされると考えています。
私も中高年サラリーマンですので、腹が立ちストレスが溜まる業務もあります。
完全に平常心を保てているとは言い切れませんが、平常心を保つ鍛錬ができる空手を継続することで、何も鍛錬しない状態に比べると、平常心を保ちやすくなっていると考えています。
日常生活の良化に繋がる鍛錬継続は、本ブログコンセプトの「生涯武道」に繋がります。
今回は以上です。
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