「力み(りきみ)はスピードとパワーを殺す」
これは、芦原空手技術書に記載の指導内容です。
具体的には、以下書籍の34ページ目左下です。
今回はその理由を考えてみました。
最初に結論です。
①インパクトに到達するまでの時間がかかる
②インパクト時に乗せるパワーが分散する
私の専門はフルコンタクト空手の芦原空手(芦原会館)です。
フルコン空手を含む直接打撃系武道の関係者の方、ご自身の見解と比較いただき新たな気付きがあれば幸いです。
また、武道全般に通ずる内容もあるのでどなたでも参考にしていただければと思います。
それでは深堀りします。
理想の打撃技について
最初に武道における理想の打撃技を記載します。
一言で記載すると
・脱力して打ち、力をいれるのはインパクトの一瞬のみ
インパクトとは、相手に攻撃が当たる瞬間を指します。
いくら筋肉・パワーがあっても、実際の戦闘・打撃の際には力を抜いて動く必要があります。
力を入れるのは、インパクトの一瞬のみです。
力み(リキミ)があると、この理想の打撃の動きが阻害されます。
その理由が次の2つです。
①インパクトに到達するまでの時間がかかる
武道初心者の方、例えば、パンチを出そうとして、手〜肩に力を入れた(力んだ)状態とします。
上述では、理想の打撃技を記載しましたが、力んだ状態からパンチが出すと、脱力して打つ場合に比べて、相手に当たるまでに時間がかかります。
パンチを打つ=手を伸ばす動作 のため、力みがあれば、伸ばす動作が阻害され、パンチの速度が遅くなります。
ご自身で試していただければ分かるかと思います。
もう一つ、中級者以上に該当する理由です。
完璧でないにしても、ある程度攻撃技を習得している人の場合、力みがある状態からスタートすると、一度力を抜いて(力みを取って)から打つことになります。
一瞬ですが「力を抜く」という余計なステップが必要になってきます。
初めから力みのない状態であれば、よりスムーズに攻撃技が出せます。
②インパクト時に乗せるパワーが分散する
理想の打撃技は、インパクトの一瞬にパワーを集中させることです。
力んだ状態ということは、インパクト前からすでに力が入っているので、インパクト時に集中させるパワーが分散します。
脱力した状態で自身能力で最大の速さで打ち、インパクト時に力を集中させること、つまり緩急をつけることが打撃時の衝撃(破壊力)の強弱に関わってきます。
もちろんスピードも関係します、力みがあると、最大限に緩急をつけた打撃技を出すことができないです。
打撃時の破壊力の面でも、脱力して柔らかく動くことが最も重要です。
まとめ
今回は、「力み(りきみ)はスピードとパワーを殺す」の理由を記載しました。
①インパクトに到達するまでの時間がかかる
②インパクト時に乗せるパワーが分散する
打撃において最も重要なことは、インパクトに到達する速度と、インパクト時に乗せるパワーの大きさ、と考えています。
力み(りきみ)があると、両方とも低下する方向で、理想の打撃技からすると逆方向になります。
いくら筋肉・パワーがあっても、実際の戦闘・打撃の際には力を抜いて動く必要があります。
芦原空手の場合は、打撃技だけでなく、サバキの挙動でも同じことが言えます。
重要なことは、常に柔らかく動くことです。
過去の技術動画で、芦原英幸先生の「70人組手」があります(今はYOUTUBE等で見えます)。
70人組手の最初のナレーションで、以下の説明が入ります。
「常に柔らかく動く。
柔らかさはより強力なインパクトを秘めており、相手のどんな変化にも対応できるのである。」
今でも、私の心に刺さり続けている戦闘における理想の動き方です。
サバキ技術だけでなく、どんな武術にも通ずる真理と考えています。
私の場合、一つの武道を継続・探求し、結果的にその技術は武道全般に通ずるのでは?と考えるようになりました。
武道共通の真理が見えてくると、他武道に対する見方も変わってきて、空手と比較すること自体に面白さを感じ、興味が持てるようになります。
このような面白さを感じることは、本ブログコンセプト「生涯武道」にも繋がります。
何事も面白くなければ継続は難しいです。
今回は以上です。
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