「蹴り・パンチは全身のバネ 。
手先、足先の技はダメージが少ない。
全身のパワーを総合させてこそ必倒。」
これは達人の芦原英幸先生の指導内容です。
今回は「全身のバネ」を使った技を習得するための稽古方法を記載します。
最初に結論です。
①基本稽古
②移動稽古
今回テーマは基本的な体の使い方で、特に空手初心者向けに記載します。
また、芦原空手(芦原会館)を含むフルコン空手、ひいては直接打撃系武道全般に通ずる内容も記載しますのでどなたでも参考にしていただければと思います。
なお、今回テーマは、芦原カラテ技術書に、格言として掲載されています。
具体的には、書籍「実戦!芦原カラテ パート1」86ページの「芦原カラテ格言集」です。
↓ 実戦!芦原カラテ パート1
それでは、深掘りしていきます。
フルコンタクト空手における「バネ」とは?
今回テーマの「バネ」とは、体を伸び縮みさせる能力を指しています。
しばしば、瞬発性・柔軟性が高い状態を「バネ」があると表現しますが、今回は優劣の話ではないです。
瞬発性・柔軟性により「バネ」には個人差はありますが、誰でもできる体の使い方です。
なぜ全身のバネを使うべきか?
冒頭で記載のとおり、手先・足先だけの技では、ダメージが少ないためです。
ダメージが少ない理由は「手のみの力」、「足のみの力」しか技に乗らないためです。
例えばパンチであれば、肩から先だけで打つより、腰の回転を加えて打った方が、威力が上がります。
追加で、下半身の力も乗せることができれば、さらに威力が上がります。
このように全身の力を1点、つまりインパクト部分に集中させることが、技の威力を高めることに繋がります。
次からは、具体的な稽古方法を深堀りします。
①基本稽古
初心者の方、基本稽古では空手の技の「形(かたち)」を学びます。
各技を分解し一番最小単位となるのが基本稽古の挙動です。
全身のバネを使う体の使い方を学べます。
手先・足先の技にならないようにするためには、まずは腰の回転を意識します。
腰の回転がスムーズに使えるようになったら、インパクト・技の開放のタイミングを意識します。
蹴りは、蹴り足だけでなく、軸足の使い方も重要です。
軸足のバネを利用します。
②移動稽古
移動稽古でのパンチ、蹴りも全身のバネを使った稽古方法です。
特に前屈立ちからの各技はダイナミックな腰の使い方が学べます。
初心者の方、移動稽古での逆突きで例を挙げます。
逆突きでは、左足前で、前後スタンスを広く取って、右手(突き)を前に構えます。
この際、右足のカカトを上げて、腰を前に持っていきます。
足先、腰の回転、肩、手、全身を使ってインパクトの1点に力を集中します。
まとめ
今回は「全身のバネ」を使った技を習得するための稽古方法を2点記載しました。
①基本稽古
②移動稽古
基本稽古・移動稽古はともに地味ですが、特に初心者の方が、空手の地力を上げるために必須の稽古と考えております。
また、今回テーマを記載していて脳裏に浮かんだフレーズがあるので、ご紹介します。
佐藤聖二先生の著作:「太気拳・意拳研究ノート」
より、中国拳法「意拳」の先生から著者への指導内容です。
著者(佐藤先生)が、意拳の先生に触れるとその手があまりに重くて全く相手にならず、稽古後に以下の会話があったそうです。
「時計の針は、動いているか?」
(著者が「勿論、秒針も分針も動いているでしょう」と答えると)
「針は動きはしない。
動いているのはその軸だ。
あなたは今手を動かしている。
私は腰を動かしているだけだ。」
体の枝の部分だけでなく、体幹をうまく使うことが、武術の技のパフォーマンス向上に繋がることがよくわかる一節です。
空手も同様で、体幹を含めた全身のバネが使えるようになると、技の威力が格段に上がります。
今回は以上です。
現代でも色あせない達人の指導内容が掲載された、芦原空手の公式技術書は、今回ご紹介のパート1の他に、以下2冊があります。
読んで理解できるようになるまで稽古したら、確実に武力が上がります。
以下記事も参考にどうぞ。
回し蹴りに特化した稽古方法を記載。初心者の方が参考になる内容もあります。
空手技術書おすすめ1位を紹介。本書には今回テーマの全身のバネについても分かりやすい説明が載っています。
実戦(=組手)に役立つ中国拳法本を厳選しました。