今回は、ハイキック(=上段回し蹴り)ができなくてもOKの理由を記載します。
最初に結論です。
①通常のハイキックは隙が大きい
②崩してから蹴る方が効率的
空手または打撃系格闘技が趣味の方で体が固く、ハイキックが上がらない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、中高年で初めたばかりの方、ストレッチの習慣がなければ、現実的にはなかなか足は上がらないと思います。
私の実体験として、空手を始めたばかりの方から、
ハイキックが上がりそうにないけど、大丈夫なものでしょうか?
との質問を受けたことがあります。
ハイキックはできるにこしたことはないですが、芦原空手(芦原会館の空手)において、実はあまり重要視されないです。
注意書きとして、今回記事内容では「試合」は想定していません。
あくまで、実戦を想定した武道が対象です。
ルールのある試合を想定した場合にハイキックが有効になる場面もあるとは思います。
それでは、深堀りしていきます。
①通常のハイキックは隙が大きい
上級者もしくは同レベルの相手に対して、通常のハイキック(上段回し蹴り)をしてもまず当たらないでしょう。
理由は、以下2点です。
・足先を動かす距離が 「地面」→「顔の高さ」 と中段・下段に比べて長い。
・回し蹴り故に蹴りの軌道が曲線的(「直線的な蹴り」の例=前蹴り)
つまり、受ける相手からすると読みやすい技で、かつ、上段ガードをしっかりしておけば防げる技です。
以上が隙が大きいと考える理由です。
芦原英幸先生の著書「空手に燃え、空手に生きる」より、抜粋します。
「ケンカのテクニックと空手の技術、これは実は同じである。
実戦で役に立つのはパンチ、ヒジ打ち、膝蹴り、ローキック、頭突き、この5つだ。」
上述のとおり、隙が大きいハイキックは入ってないです。
②崩してから蹴る方が効率的
通常のハイキックは隙が大きすぎる。
では、上段(顔面)を蹴るためにはどうしたらいいか?
答えは、相手を崩して蹴る対象を下げることです。
うまく崩せたとすると、相手は技を読むことも、ガードもできないです。
芦原空手の 「組手の型4」 ⑨の挙動より例を抜粋します。
相手の右回し蹴り(上段)対して、
軸足ストッピング(相手の左足に対して自分の左足で)
→右ローキック(相手の右足に対して内もも蹴り)で崩す
→サイドから右上段回し蹴り(崩れているので実質は中段の高さの蹴り)
→巻き込み投げ
このように小さな崩れを積み重ねて大きな崩れとして、崩したところ(=相手の顔面の位置が下がった状態)で蹴る方が、効率的にダメージを与えられます。
まとめ
今回は、ハイキック(=上段回し蹴り)ができなくてもOKの理由を記載しました。
①通常のハイキックは隙が大きい
②崩してから蹴る方が効率的
空手を始めたばかり方からの
ハイキックが上がりそうにないけど大丈夫なものでしょうか?
の質問に対する私の答えは、
ハイキックは蹴れなくても大丈夫です!
中段まで足が上がれば空手の技として成立しますから。
としました。
この答えを考える際に、以下の内容が頭をよぎりました。
【芦原英幸先生の著書「空手に燃え、空手に生きる」より抜粋】
「高い蹴りなど必要ないのである。
相手を崩すことによって、相手の体を攻撃しやすい高さ、距離にリードしてやる。
相手の足元を崩すことにより、ローキックで顔面を蹴ることさえできるのだ。
ハイキックができなくても空手は強くなれるのである。
私が、芦原空手は老人になってもできる、という理由の1つがこれである。」
年齢を重ねるとどうしても体は硬くなります。
しかし、適切な受け・ステップワーク・見切りができ、適切なタイミングで技を出すこと、つまり、確実に崩せるテクニックを習得できれば、高い蹴りができなくても、高い武力が得られます。
これは、本ブログ「everkarate」のテーマでもある「生涯武道」に繋がります。
今回は以上です。
以下記事も参考にどうぞ。