「サバキは、最初の当たりをリードするか、されるかで決める」
これは達人の芦原英幸先生の指導内容です。
具体的には、以下技術書の140ページ左下に掲載されています。
今回はその理由を考えてみました。
最初に結論です。
理由:最初の当たりで崩すとさらに大きな崩れに繋がるから
私の専門は芦原カラテ(芦原会館)です。
芦原カラテを含むサバキ系空手の関係者の技術向上に繋がれば幸いです。
また、武道全般にも通ずる内容でもあるので、関係者の方は参考にしていただければと思います。
サバキとは
大きく2つの意味があります。
① 1つ目は、空手技術の名称で、芦原空手で学ぶ「技術の総称」です。
オリジナルは、芦原英幸先生(初代館長)です。
簡単に説明すると
・打たれずに打つ攻防一体のテクニック
・競技(試合)ではなく実戦を想定した技術
です。
② もう一つは、「自由組手のルール(制約)」です。
芦原空手の場合、稽古・審査では、「サバキ」と「組手」を別の位置付けとします。
「サバキ」では、サバく側はローキック・投げ・ポジショニング・等で制圧していきます、打撃技はローキックに限定されています。
攻撃側の打撃技は自由です(ただし、金的・背中への攻撃はNG、フルコンルールの場合は顔面パンチもNG)。
一方、「組手」は「スパーリング」のことを指しお互いに攻撃します、サバキ技術を使うこともOKです。
最初の当たりとは
「最初の当たり」とは、構えた状態からの最初の攻撃、ファーストコンタクトです。
コンビネーションを例に挙げると、1撃目の攻撃技です。
【コンビネーションの例】
前蹴り(※) → 右パンチ → 左パンチ → 左中段回し蹴り
※ この場合は、前蹴りがファーストコンタクト
リードしている状態
組手では、最初に挨拶して、お互いに組手構えで向かい合います。
お互いに構えた状態は、どちらかが有利ではなく、五分と五分(10:10)の状態です。
組手を開始すると、お互いの攻防により、均衡はなくなり様々な状態に変化し続けます。
組手では、止まることはNGです。
理由は、止まっていては、自分が崩れていき、最終的にはKOです。
相手を「リードしている状態」とは、ほんの少しでもいいので、相手を崩している状態を指します。
数値で例を示すと、完全にスキのない構えを「10」とすれば、リードしている側は「9」、リードされている側は「8~8.5」のような状態です。
最初の当たりで崩すとさらに大きな崩れに繋がる
お互いに構えた状態から、相手の初撃(ファーストコンタクト)を、「受け」・「ブロック」・「ステップワーク」・他技 で対処し、リードできたら(=ほんの少しでも崩すことができたら)どうでしょうか。
相手は崩れから体勢を立て直そうとします。
崩した自分は、体勢が整ってない相手に対して、次の技に繋げやすくなります。
少しでもリードしている状態を作り、そこからさらに小さな崩しを積み重ねることで、より大きな崩しに繋がれば、安全確実に制圧できます。
これが、「サバキは最初の当たりをリードするか、されるかで決める」の理由と私は考えています。
今回はサバキ技術として記載しましたが、通常の組手(スパーリング)でも同じことが言えます。
以下書籍
の86ページの「芦原カラテ格言集」において、
「リードするかされるかで、勝負は決まる」
との記載もあるのでこちらもご参考に。
まとめ
今回は、達人の芦原英幸先生の指導内容である
「サバキは最初の当たりをリードするか、されるかで決める」
の理由を記載しました。
理由:最初の当たりで崩すとさらに大きな崩れに繋がるから
最初の当たり(ファーストコンタクト)を適切に対処できれば、後の技に繋げることができます。
まさに、理想のサバキです。
言葉で書くのは簡単ですが、実践するのは本当に難しいです。
では、最初の当たりを適切に対処するためにはどうすればいいか?
私は以下の4つを兼ね備える必要があると考えております。
・技のフォーム・スピード
・適切なタイミング
・適切な間合い
・組手慣れ
これらは一朝一夕では身につかず、道場に身を置いて各種稽古を継続する必要があります。
逆に言えば、完璧な動きは難しいにしても、稽古継続すれば確実に理想のサバキの動きに近づけます。
今回の指導内容は、たった1文ですが、理想のサバキを追求する際の重要なヒントになります。
私は、達人の指導内容の理由を考えること自体が面白いと感じています。
武道探求の面白さは、本ブログコンセプト「生涯武道」にも繋がります!
ちなみに、さらに高レベルのサバキ技術を学ぶには、以下書籍がおすすめです。
「サバキのサバキ」の掲載もあり、上級者向けです。
今回は以上です。
以下記事も参考にどうぞ。