「ロングの間合いは一瞬のインステップが決め手」
これは、達人の芦原英幸先生の指導内容・格言です。
今回は、その理由と、ロングの間合いにおける一瞬のインステップをマスターする具体的な稽古方法を記載します。
最初に結論です。
理由: 相手が体勢を立て直す前に攻撃できる位置に入る必要があるから
稽古方法: 組手の型5
今回は特に芦原空手(芦原会館)に特化した内容ですので、芦原空手を含むサバキ系空手の関係者の方はぜひ確認いただき、ご自身の稽古内容の一助になれば幸いです。
また、芦原空手の原点は、ストリートファイトで使える技術ですので、打撃系武道全般にも参考になる内容です。
それでは深堀りしていきます。
ロングの間合いとは
相手から、少し離れた間合いを指します。
「ミドルの間合い」が中段回し蹴りがクリーンヒットする間合いとすると、「ロングの間合い」はそこから3〜5cm、距離を離した位置です。
体格の個人差があるので、あくまで目安です。
理由: 相手が体勢を立て直す前に攻撃できる位置に入る必要があるから
ロングの間合いは、相手の攻撃がまともに当たらない距離です。
逆に言うと、自分の攻撃も当たらないポジションです。
では、攻撃を当てるには、どうするか?
「インステップ」により距離を詰めます。
距離を詰めた上で攻撃を放ちます。
当たらない位置から当たる位置への移動、ここまでは当たり前の話です。
次からがポイントです。
距離を詰めた後に、ただを攻撃するだけでは、相手にガードされます。
距離を詰める「タイミング」が最も重要です。
では、最も効率的なタイミングとはいつか?
それは、相手が攻撃から体勢を立て直す前です。
相手の技を見切り、相手が攻撃から体勢を立て直す前に、自分が攻撃できる位置に、一瞬で(=できるだけ時間をかけずに)入る必要あります。
これが「ロングの間合いは一瞬のインステップが決め手」の理由・意図と、私は考えています。
稽古方法: 組手の型5
ロングの間合いから一瞬で間合いを詰めて攻撃ができるようになるために、「組手の型5」が有効な稽古方法です。
「組手の型5」は、芦原空手のオリジナル型です。
組手の型は1~5があり、1・2がショートの間合い、3・4がミドルの間合い、「組手の型5」は今回テーマのロングの間合いでのサバキ技術が体系化されています。
↓参考DVD
具体的な例を記載します。
【組手の型5-3の挙動】
相手の右前蹴りに対して、
ステップバック→
右手で外受け→
(相手が体勢を立て直す前に、出来るだけ早く)
右足送り足でインステップ→
裏投げで崩す→
崩れ落ちる相手の後頭部に対して左膝蹴り
一例ですが、組手の型5からは、ロングの間合いからのサバキ技術が学べます。
私自身、黒帯になり、組手の型5を継続的に稽古するようになり感じたことが、相手が体勢を立て直す前、つまり防御が整ってないタイミングで、自分の攻撃を当てることの重要性です。
理想の「攻めのタイミング」とも言えます。
これを理解すると、実は、他の芦原空手型ひいてはサバキ技術全てにおいて、同じことが言えると気付きます。
私の場合、「理想の攻めのタイミング」を意識することで稽古内容と組手の質が変わってきました。
理想の攻めのタイミングについては、以下の記事にまとめました。
まとめ
今回は、達人の指導内容「ロングの間合いは一瞬のインステップが決め手」について、その理由を深堀りして、具体的な稽古方法を記載しました。
理由: 相手が体勢を立て直す前に攻撃できる位置に入る必要があるから
稽古方法: 組手の型5
なお、今回テーマは、芦原カラテ技術書に、格言として掲載されています。
具体的には、書籍「実戦!芦原カラテ パート1」86ページの「芦原カラテ格言集」です。
↓ 実戦!芦原カラテ パート1
「組手の型5」は、黒帯初段が二段を受審する際の指定型です。
私も昇段審査のために稽古しましたが、今では自分の自主トレメニューとして必ず取り入れています。
理想の攻めのタイミングを習得するためには、ロングの間合いからのサバキ技術がとても有効であることが、取り入れている理由の一つです。
特に芦原空手関係者の方、天才空手家の芦原英幸先生が考案した実戦・組手におけるエッセンスが凝縮されている型、それが「組手の型」を含む芦原空手の型です。
もちろん、今回の「攻めのタイミング」の他にも学べることが多々あり、非常に奥が深いです。
審査のためだけに稽古するのはもったいないので、ぜひご自身の技術向上の一助として検討いただければと思います。
以下は参考書籍書籍です。
達人の芦原先生による「組手の型5」の解説(写真付き)が、なんと全36ページに渡って掲載されています。
現在は廃版のため中古しかないですが、私が過去に読んだ本の中で、最もレベルが高い技術書です。
サバキ系空手が趣味の方には1万円以上の価値があります。
今回は以上です。
↓参考書籍 芦原先生の強さの原点を探求しているハイレベルな技術書
以下記事も参考にどうぞ!